・授業がマンネリ化しちゃって…何か面白いことできないかな?
・年度末で教科書内容が終わったからやることがないよ…
みなさんこんにちは。中学校国語科教師のアオです。この記事では,実際に自分が授業で行った「歌詞分析」の授業について紹介します。
歌詞分析とは「自分(達)が好きな曲を選んで,その歌詞を分析する」というものです。自分が大学生のときに授業で取り組んだのですが,非常に面白かったので中学生向けにアレンジして実践しています。何度か実践して,自分なりに「この構成が取り組みやすい!」と感じた流れを紹介します。
曲を選ぶ
ここがこの実践の肝です。話し合いもそうですが,「自分が興味を持てるテーマ」だと,生徒は自然と考え始めます。初めはグループで取り組むのが良いかと思うので,3,4人で1グループ作って選曲させましょう。
曲はJ-popがオススメです。最終的には「歌詞を元に物語を創作する」のが単元のゴールなので,登場人物がいて,なんやかんやあって…というのを想像できる曲がベターです。
今回紹介するのは菅田将暉さんの「まちがいさがし」での実践です。
歌詞を分析する
順を追って説明します。自分が勤める学校では,生徒がWindowsタブレットを使っており,「Microsoft Whiteboard」を活用しています。
詳細は以下のリンクを参照してください。
知らない言葉を調べる
まずは知らない言葉を調べます,グループで協力し,調べたものを記録していきます。どんどんインターネットで調査させましょう。例は全て生徒から出た考えです。
例)「淡い靄」ってどういう意味だ?
→見づらい,見通せない状態の比喩。
気になる表現を挙げる
「これはどういう意味だ?」「ここ韻踏んでる?」「なぜここでこんな表現を?」など,気になる部分を挙げます。さらに,それを考察することで作品の理解が深まります。
例)「深い春の隅って何を指しているのかな?」
→一人きりになってしまった孤独を表しているんじゃない?
作品の設定を決める
物語を創作するために,歌詞中の設定を確認します。
例)
①登場人物→僕(男性・27歳・会社員)と君(女性・25歳・会社員)は恋人関係
②時代・季節など→春〜,平成,明け方
③場所,舞台→家の中
④展開をざっくり→恋人が同士だった2人が〜
※ 注目すべき歌詞→ただ強く思うだけ
読み取れないものもありますが,ある程度は想像で補っておくと創作がしやすくなります。歌詞と矛盾しないように考えるのがポイントです。
タイトルの意味を考察する
曲において,「タイトル」は重要な意味を持っています。タイトルについて考えることで,曲自体への理解も深まります。
例)まちがいさがしって「人生」を表しているんじゃない?…
物語を創作する
ここまでの成果を元に,物語を創作します。歌詞の流れに沿って設定やセリフなどを足していきます。「歌詞をそのまま使うのか」「どう補うのか」,曲の世界観を壊さないように創作していきます。
例)自分はずっと,人生の選択に失敗してきたと思っていた。
でもあのとき,もしこの道を選んでいなかったら,君とは出会えていなかったよね。
僕が君と出会ったのは大学生のとき。…
この授業で身につけさせたい力
・歌詞から,人物像などの設定について根拠をもとに想像する力
・歌詞から,内容の展開を読み解く力
・グループで協力して考えをまとめる力
近年の入試では,資料の読み取りや自分の考えを言葉にして書くような問題が増えてきています。書くことに苦手意識がある生徒は多いと思いますが。身近なJ-popを題材にして取り組むことで,より読解・創作に積極的に取り組める実践だと考えています。
かかった時間数
選曲〜設定→4時間
創作→2時間
交流,振り返り→1時間
合計7時間
基本的に助言せずに進めていってこの時間数です。適宜アドバイス(特に設定の段階で)すればもっとコンパクトに収まるかと思います。普段,国語に苦手意識が強い生徒も意欲的に取り組んでいる印象だったので,題材としては効果的だったのではないでしょうか。
まとめ
年度末,復習プリントをやるより有意義な時間になるのではないかと思います。タブレットも活用しやすい題材です。
時間があれば,取り組んでみてはいかがでしょうか。
みなさんの参考になれば幸いです。それでは!
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