【完全版】中学校における「探究学習」〜中教審答申を踏まえて〜

授業
この記事で解決できること

・探究学習って何をやったらいいの?
・どんなテーマで探究したらいいの?

アオ
アオ

みなさんこんにちは。アオです。この記事では「中学校での探究学習はなぜ必要なのか」に迫りながら、実践例を紹介します。

探究学習とは

まずは、中学校の総合的な学習の時間の目標を見てみます。

横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育成するとともに,学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的,協同的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができるようにする。

総合的な学習の時間編 ー中学校学習指導要領(平成29年告示)解説

これだと「探究」がどういうものなのか、ピンときませんよね…。

そこで、中教審の答申を見てみましょう。

中央教育審議会初等中等教育分科会は2025年12月26日に「探究」の概念や内容を整理した資料を公開しています。

その資料の中で、「探究」について以下のように述べています。

探究の特質を踏まえつつ、児童生徒にとっても分かり やすい表現とする観点から、以下のように整理してはどうか。「実社会・実生活との関わりの中で見出す自己の興味・関心や 問題意識に基づき課題を設定し、教科等の学びを必要に応じ て活用し、試行錯誤しながら、課題解決を通じた新たな価値の 創造を繰り返していく学習のプロセス」
文部科学省「生活、総合的な学習・探究の時間WG(第3回)資料」(2025年12月26日

つまり、探究とは「自ら問いを立て、解決に向けて試行錯誤しながら、新たな意味や価値を創り出していく学習のプロセス」ということになります。

文部科学省「生活、総合的な学習・探究の時間WG(第3回)資料」(2025年12月26日)補足イメージ1

なぜ探究学習が必要なのか

ここで少し視点を変えて、経済産業省が令和4年に出している「未来人材ビジョン」の内容を紹介します。

次の社会を形づくる若い世代に対しては、

「常識や前提にとらわれず、ゼロからイチを生み出す能力」

「夢中を手放さず一つのことを掘り下げていく姿勢」

「グローバルな社会課題を解決する意欲」

「多様性を受容し他者と協働する能力」

といった、根源的な意識・行動面に至る能力や姿勢が求められる。

出典:経済産業省「未来人材ビジョン」

これらはまさに「問いや課題を自ら設定し、試行錯誤しながら新たな価値を創造する」探究そのものではないでしょうか。

「探究を通して、今後の社会に必要な力を身につけていく」そのための探究学習といえそうです。

探究学習の流れ

ここからは、実践をもとに探究学習の流れを紹介していきます。

学習の流れは以下の通りです。(◯数字はコマ数)

1.説明・テーマの設定 ①②

2.仮説の設定 ③

3.調査 ④⑤⑥⑦⑧(中間発表・検証の準備も含める)

4.検証 ⑨⑩⑪

5.考察 ⑫⑬

6.発表 ⑭⑮

7.振り返り ⑯

※字数は目安です。使える字数等に応じて調整してください。

以下で詳しく説明していきます。

説明・テーマ設定

導入では「なんか楽しそう!」と生徒に思ってもらうことが重要です。

「自分が興味のあること」「疑問に思うこと」をとことん調べてみよう!

くらいがいいかもしれません。

また、ここで「最後は発表するよ!」と意識づけておきましょう。

さて、テーマを設定するとなると、生徒は「でも何を調べたらいいの…?」となります。

この最初の難関が「テーマ設定」です。熱中できるテーマが設定できれば、もう探究学習は成功したも同然です。

テーマ設定で重要なのは「好き」と「なんでだろう」です。

例をあげます。

パンを焼くのが好き!!→「発酵時間やこねる時間によってパンの味はどう変わるのか」

お風呂で手がふやけるのはなんでだろう?→「手がふやけるのはなぜか、毎回同じ模様なのか」

「え?そんなテーマでいいの!?」と思うかもしれませんが、以下をご覧ください。

興味・関心や問題意識に基づく素朴な問いが、探究の過程において、例えば「解明したい『問い』」「解決したい『課題』」といった形で、より解像度の高い問いや課題へと洗練されていく
文部科学省「生活、総合的な学習・探究の時間WG(第3回)資料」(2025年12月26日

小難しい課題ではなく、日常生活の中での疑問や興味関心をもとにテーマを設定するのが望ましいと思います。これがその後の意欲にもつながります。

文部科学省「生活、総合的な学習・探究の時間WG(第3回)資料」(2025年12月26日補足イメージ2

さらに、「お風呂でふやける」が「なぜ指先だけ?」「水温によって変わる?」など新たな問いにつながっていきます。深掘りしていくうちに「理科で習った◯◯の知識が使えるかも…!」など「教科の知識を活用」することもできるかもしれません。

仮説の設定

ここでは、テーマに対して「おそらくこうなるだろう」という仮説を立てます。

逆に言うと「答えがわかりきっているもの」はテーマとしてふさわしくないかもしれません。

これまでの自分の経験をもとに予想させます。全く予想の余地がなければ、先にある程度調査させるのもいいでしょう。

【例】

「発酵時間◯分、こねる時間◯分くらいが美味しいのではないか」
「お湯が温かい方がふやけるのが早いだろう」

また、ここで発表までの道筋を考えておくと良いですね。「どんな調査をする?」「検証の方法は?」と問いかけていきましょう。

調査

仮説を立てたら調査していきます。

方法としては「インターネット」「本」「インタビュー」「アンケート」「実践」あたりがあるでしょうか。

インターネットの活用はもちろんありなのですが、「情報の信憑性」に注意し、「それだけ」にはならないようにしましよう。

例えば、「指がふやける」ことについて調査すると、外国の先行研究が出てきました。そこで「指のふやけ方は毎回同じ」と言う結果を見つけ、「自分で改めて実験したい」と言う意欲と、「では水温によって変わるのか」と言う新たな疑問が生まれていました。

そこから実際に水温を管理して指をふやけさせる実験につなげていきます。次で詳しく触れますが「実際にやってみる」のは非常に重要です。

また、「兄弟構成における性格への影響」をテーマにした生徒はクラスの生徒や先生に対するアンケートやインタビューを行っていました。こういった「数」が必要になる調査では効果的ですね。

検証

調査と似ていますが、「時間をとってじっくり検証する」時間です。

テーマによって「コツコツ記録を取る」必要があるものと「調査した内容をもとに一気に検証する」方が良いものがあります。

見聞きしたもので終わらず、自分でやってみるのが最も重要です。

場合によっては現地調査に行ったり、専門家の話を聞いた方がいい場合もあると思うので、単元構成の際にまとまった時間をとって検証できるようにすると良いでしょう。

考察

検証結果をもとに、仮説は正しかったのか考察していきます。

ただ、重要なのは「仮説が正しかったか」ではなく、「検証によって新たな価値が生まれたか」です。

検証した内容をまとめて、自分なりの考えをまとめていきます。

検証の結果を羅列するのではなく、「検証からわかったこと」を考えましょう。

発表

ここまでの成果をスライドにまとめていきます。

と言うよりも、「調査しながらまとめてきた内容を整理する」イメージの方がいいでしょうか。

発表は1人5分を目安にします。スライドにすると10枚程度のイメージです。

おそらく「調査・検証したすべて」は話せないので、取捨選択する必要があります。

これも「相手意識」を持たせた発表にするために必要なことです。

スライドの流れは以下を基本とします。

①はじめに(テーマ紹介)
②概要説明
③仮説
④調査からわかったこと
⑤実践について、その結果
⑥考察(仮説の検証)
⑦おわりに

卒業論文っぽく、「⑦おわりに」でこのテーマを設定したきっかけなどを話すのもいいかもしれませんね。

実際の発表では、それぞれの発表の後に感想や質問を入力する時間をとります。

個人的には「質問がある人!」の時間はもったいないですし、出ないと寂しいので入力させちゃいます。文字で褒められるのも嬉しいですよね。

振り返り

最後に振り返りです。

感想で終わらないように視点を与えましょう。

①テーマ、仮説は適切だったか、価値はあったか
②調査方法は適切だったか
③わかったこと、考えが変わったことはあるか
④次に探究するとしたら
(⑤感想)

ここをしっかり書かせることで、改めて探究の価値や自分の成長に気づかせることができます。

所見を書く際にも、生かすことができますね。

やってみてどうだった?

今回、探究の活動をやってみて思ったのは「生徒が思ったより熱心に取り組んでいた」と言うことです。

「こういうことをやるよ!」と予告した時点で「テーマ何にしよ〜」とか「こんなテーマはどうですか!」と言う生徒が多かったですし、テーマを決めたら早速休み時間や家での時間に調査している生徒もいました。

最初に説明すれば、あとは基本的に生徒が自走し、こちらはサポートに徹することができるというのもありがたかったです。

アオ
アオ

「主体的な取り組み」を目指す上でも役に立ちそうです。

おわりに

この記事では、中教審の論点整理をもとに実践した「探究」について紹介しました。

皆さんのお力になれれば幸いです。

アオ
アオ

「こんな実践をしてみたよ!」といったコメントは大歓迎です!よろしくお願いします!

コメント

タイトルとURLをコピーしました